2023年6月末、岸田総理に提出された政府税制調査会の中期答申が波紋を呼んでいます。
その理由は「サラリーマン増税」を匂わせる内容がたっぷりと盛り込まれていたため。増税し続ける岸田政権の勢いは止まらず、次はサラリーマンが狙い撃ちされる可能性が高いです。
用語解説メモ・・・税制調査会の中期答申とは?
税制調査会は、日本の税制のあり方や制度の検討・議論をするための専門的な機関です。
中期答申とは、税制調査会が提出する答申の一つで、主に3~4年ごとの間隔で提出されます。この中期答申は、次の数年間にわたる日本の税制の基本的な方針を示すものです。
- なぜサラリーマンが狙われているのか
- 増税はいつからなのか
- 国民の不満が爆発している理由
これらの内容について詳しく解説していきます。現状を理解して、増税への対処を考えていきましょう。
最近増税ばっかだね…
個人で対策していかないと本当にヤバイよ
岸田総理がサラリーマンに増税したい理由
- 参照:首相官邸ホームページ
まず、なぜ「狙い撃ち」と言われるほどサラリーマンへの増税が検討されているのでしょうか。政府税制調査会の中期答申では次の理由があるとしています。
- 働き方による公平性を保つため
- 雇用の流動性向上を妨げているため
- 防衛・少子高齢化のための財源を確保するため
これも理由としてあると思いますが、本音は別にあると思います。
取りやすいところから取りたい
「税金を取れるところならどこでもいい」というのが岸田政権の本音です。
そういう意味で税金が取りやすいのがサラリーマン。なぜなら、サラリーマンの所得はほぼ把握されていて節税の手段が限られるから。また、税金の徴収もサラリーマンなら給料から自動的に天引きにできます。
自分で税金を収める自営業者などは嫌でも税額が見えるので、なるべく経費を多くして節税しようとします。
どこかに勤めて給料をもらっていると「給与明細をみて気づいたけど税金高くなってない?」と感じたことはありませんか?
これをステルス増税と呼びます。国民ができるだけ気づかないところで増税しているのです。
サラリーマン増税はいつから?
- 参照:自民党ホームページ
「サラリーマン増税」と言われる部分の増税が行われるかはまだ決定していません。
これから検討が進み、増税が決まったとしても、実施まで少なくとも2~3年の期間を要すると思われます。
7月25日に「サラリーマン増税うんぬんといった報道があるが、全く考えていない」と岸田総理は述べました。
ただ、正直言って全然信用されていません。今まで積極的に増税を行ってきたからです。もし増税を切り出してくるとすれば、次回の選挙後ではないかと予想されます。
いつものように水面下で話が進められないように、今の段階から「増税反対!」のムードを盛り上げていきたいものですね。
増税対象となるサラリーマンの控除
- 参照:自民党ホームページ
政府税制調査会の中期答申で指摘された増税対象は以下のとおりです。
- 給与所得控除
- 退職金
- 通勤手当
給与所得控除だけでなく、退職金や通勤手当にも増税の手が伸びると予想されています。
本当に手厚すぎる?サラリーマンの給与所得控除
政府税制調査会の答申によると、サラリーマンの給与所得控除は手厚すぎるとのこと。
現在サラリーマンの給与所得控除率は約30%です。しかし、実際のサラリーマンの必要経費は3%程度と試算されていて、主要国と比べても高すぎる控除率との指摘が出ています。
用語解説メモ・・・給与所得控除とは?
給与所得控除とは、所得税の計算時に給料から引くことのできる控除。給与額によって異なりますが平均すると約30%の控除率です。
この制度は給与収入のある人、つまりサラリーマンに適用され自営業者には適用されません。
というのも、自営業者は事業で使うものや家賃の一部、交際費などを経費として非課税にできます。サラリーマンはそれができないため、必要経費相当の控除を受けられる代わりの仕組みが給与所得控除なのです。
サラリーマンは税制面で本当に優遇されているんでしょうか?
それを考える際に参考になるのが、税金の不平等を表すクロヨン(9:6:4)という言葉です。
これは税務署が把握している所得が業種ごとに異なることを示しており、サラリーマン9割、自営業6割、農林水産業4割という意味です。
自営業や農林水産業の把握されていない所得分は税金が徴収されません。というか、できません。しかし、サラリーマンは所得の9割は把握されているため、他の業種に比べてもがっつり課税されていることを意味します。
税金取られ放題のサラリーマンの現状を考えると、手厚いなんてとても思えませんよね。
退職金が増税ターゲットになった
退職所得控除も増税対象として有力な候補です。
用語解説メモ・・・退職所得控除とは?
退職所得控除とは、勤続年数によって控除額が増える制度。
勤続20年目までは年間40万円、21年目以降は年間70万円ずつ控除額が増える仕組みです。1つの会社に長く勤めたご褒美として退職金をモチベーションに頑張っているサラリーマンも多い。
勤続年数が長くなるほど見返りの大きい退職所得控除ですが、このような優遇措置が転職や独立の機会を奪っているのではないか、というのが増税の検討理由になっているようです。
政府は退職金からもがっつり税金を取りたいようです。退職金を住宅ローンの返済にあてたり、老後資金にしようと考えていた人のダメージは大きいですね。
退職金を頼りに頑張って働いていた人にはたまらないね
定年退職の年齢も引き上げられそうだしね
通勤手当も次の増税候補になっている
通勤手当が課税対象になると職場が遠ければ遠いほど多く税金を払うことになります。
通勤は必要経費なので非課税とされていますが、テレワークが浸透して通信費の手当などを出す会社もあり、通勤手当だけ非課税でよいのかという議論があるようです。
サラリーマンの必要経費は給与所得控除で非課税になっていることもあり、通勤手当だけ特別扱いできないとの言い分が出てきそう。
課税されるために会社に行くみたいでなんかイヤだね…
【批判殺到】サラリーマン増税に対して国民の怒りが爆発している理由
- 参照:FRIDAYデジタル
今回のサラリーマン増税に対してSNSを中心に不満の声がたくさん出ています。
そもそも増税されて嬉しい人はいませんが、なぜここまで怒りの声が大きくなっているのか。理由はいくらでも出てきますが、特に大きな要因を解説します。
日本の税収は3年連続で過去最高
この3年間、日本の税収は過去最高を更新し続けています。
本来であれば減税の話が出てもよさそうですが、新たな増税案が止まりません。「なぜ還元しないのか?」とSNSでは怒りの声が多く見られます。
増税だけでなく、インフレによってあらゆるものの物価が軒並み上がっているタイミングでは国民の不満が噴出して当然と言えるでしょう。
国民負担率は50%に達する勢い
国民負担率とは、国民全体の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合です。
国民負担率はいまや50%に達する勢いで、1年のうち半年間は税金を支払うために働いているといっても過言ではありません。
少子高齢化で現役世代が減り、人口も減っているにも関わらず、日本の税収は過去最高を更新し続けています。おまけに平均給与は30年間上がっていません。
つまり、国民1人あたりの税負担がどんどん重くなっているのです。
岸田総理は増税しないと言って当選した
自民党総裁選で増税しないと語って当選した岸田総理。
しかし、フタを開けてみれば数々の増税案が打ち出されています。これではウソつきと言われても仕方ありません。
今回のサラリーマン増税についても「考えていない」と岸田総理は否定しましたが、全く信用できないでしょう。否定はしたものの政府税制調査会の答申も撤回させていません。
公約とか…もうあってないようなもんだね…
自己防衛しなければもっと貧しくなる
「黄金の3年間」を手に入れていると言われる岸田政権。
この内閣が続く限り、今後も積極的に増税検討が進められると思います。また、増税だけでなくインフレの影響で生活必需品や光熱費の値上げも深刻です。
残念ながら、国に期待してもこの状況は変わりません。すでに取り返しのつかないところにきていて、今後さらに日本が貧しくなる未来は避けられないでしょう。
- なぜそうなるのか?
- それでは、どうすればいいのか?
これらの疑問について「インフレ・増税対策」の記事で詳しく解説したのでご覧ください。
今より生活水準を落とさず、さらには上げていくために個人でできる対策をしていきましょう。
まとめ:サラリーマン増税はほぼ確実にくる
岸田政権の支持率は3ヶ月連続で下落し、すでに2割台まで落ち込みました。国民を苦しめる方向の政策はやめてほしいと願うばかりです。
岸田総理や鈴木財務相が否定したことから、すぐにサラリーマン増税が実行されることはないと思われます。
しかし、すぐに実施されないだけで今後を見据えると増税の流れは止まらないでしょう。
やはり、政権に期待するのではなく個人個人が資産形成していくしか、豊かになる未来は残されていません。その手助けになるような内容を今後もお伝えできればと思います。
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